« 新人賞の季節 | トップページ | えみさんの日記 »

2008年5月29日 (木)

おくすり短歌・5月(全文)

こんにちは。

毎日新聞九州版で連載させていただいている、エッセイ「おくすり短歌」

今回で25回目。

四川大地震のことを書きました。

感想などいただけると嬉しいです。

bud

何よりもあなたがここにいることが
 嬉しいのです ハピイバースデー

 2008年5月12日午後2時28分。四川大地震発生。小学校は崩落し、授業を受けていた数百人の児童が校舎の下敷きになった。二日後、発見された子どもの亡骸を抱く両親。朝、出掛けたときの服装のままで変わり果てた姿になったわが子に「助けてあげられなくてごめんね」と泣きながら語りかけた。

 生き埋めになりながらも四つん這いになって生後4か月ほどの赤ちゃんを守りきった母親。携帯電話に遺書を残していた。「お母さんがあなたを愛していたことを覚えていてね」最後までわが子のことだけを心配したのだ。母親を亡くした未来のわが子へ愛を伝えたい。真っ暗な瓦礫の下で必死にメッセージを打ち続ける母親を想像すると胸が詰まる。

 連日の報道で死傷者の数は増え続け、死者6万人超というおぞましさ。その一人ひとりに「助けてあげられなくてごめんね」と嘆き悲しむ家族がいることを考えると、やり場のない怒りを感じる。

 そんななか、50時間ぶりに救出された20歳の女性に兵士たちがハッピーバースデーの歌を歌う映像を観た。女性は瓦礫の下で誕生日を迎えたのだった。崩壊した建物に響く歌声は生存者を勇気づけ、傷ついた心身に命を吹き込んでいった。

 私の息子も来月4歳の誕生日を迎える。「なぜお誕生日にお祝いをするの?」と聞くから「大きくなって嬉しいからだよ」と答えた。おしゃべりもお絵かきも上手になったね。でも君が今日もここにいてくれることが、パパもママも一番嬉しいのです。

                         (毎日新聞九州版5月28日掲載)

|

« 新人賞の季節 | トップページ | えみさんの日記 »

短歌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 新人賞の季節 | トップページ | えみさんの日記 »