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2007年11月30日 (金)

おくすり短歌・11月

先日行われた福岡市文学館のイベント「短歌の祈り・詩の言葉」の感想を毎日新聞で連載しているエッセイに書きました。

バースデーケーキのホイップクリームに
触れた中指が渦を描く

 先日福岡市文学館の「短歌の祈り・詩の言葉」というイベントに参加した。神奈川県在住の歌人・伊津野重美(えみ)さんを招いての朗読会。
 伊津野さんはその小さな声と体で、詩を祈りまでに昇華することができる稀有な存在。

わたしにはなんにもなくてわたしにはこわいくらいになんにもなくて 伊津野重美

たった一人の母を許せずたった一人の母を憎めず堕ちてゆく 闇 同

 歌集『紙ピアノ』には危篤状態に陥ったほどの病気や家族から暴力を受けたことを詠んだ歌もある。しかし愚痴らしいものはない。ただ愛されたい、愛したいという強い願いを感じる。それらの歌を声に出して読んだとき、その場にいる人たちまで愛してしまうのが伊津野重美の表現だ。間近で聴いていた女性が数人泣きだしてしまった。

生きるのは苦しい。誰かに救われたい。でも救われたいのは私だけではない。みんな同じなんだ。伊津野さんから勇気をもらった。
まず身の回りの人から精一杯愛してみよう。単純な私は夫の誕生日にケーキを焼いた。「手作りケーキなんて初めてだよ!」と喜ぶ夫。よしよし、私もやればできるのだ。

しかし夜中、ごそごそと胃薬を探す夫を目撃。食べ過ぎて胃がもたれたそう。免疫のない夫には私の愛情が少し重すぎたようである。

         須藤歩実(未来短歌会)

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